好奇心は猫を殺す






…あれ、





ごそごそと定位置を探るが見当たらない。何がって覆面が、である。
枕に埋めていた顔を上げ、暈ける視界を無視して耳に感覚を集中させる。

ごそごそ、と何かが聞こえていたから。

(…遂に実力行使に出たか…)

こんな事をするのはまあ彼女、

しか居ない。
そう決めつけるのも、無理はなかった。
此処最近

は隙あらばともだちの覆面をひっぺがそうと奮起していたからだ。

「…ん?…んー…」

息を潜めて物陰から覗き込めば予想通りの様子が見えた。

「ん?ここでとめて…ここをくぐらせる?」

持ち主が多少感心に思う程無駄に複雑なやり方で彼女は覆面と格闘していた。
床に座り込みごもごもとしている彼女にそっと近づき、言う

「やってあげようか」

「あっ、お願いしま……」

「……」

「……ハッ!」

まさにはっと何かに気付いたかのように

は振り向き、

「その行動は読めてるよ、



「あぁ~…何だもう…ちえ」

落胆した。

何だか何処か安心したかのような表情の彼女の前にはハットリ君のお面が変わらぬ表情で佇む。
唇を尖らせる

の頭からずるりと覆面が落ちた。どんな付け方をしようとしたんだい。

「見れると思ったのに」

「そんな簡単に見れたらつまんないじゃないか」

「私は見れないのでつまんないんですが」

「まあそう言わないで」

ともだちは覆面を手に取り、彼女に被せた。
もご、とまだ文句を言い足りない

のくぐもった声が聞こえたが、気にしない事にする。

「髪が長くて纏めきれないから、外に出しちゃった方がいいね」

「あー、お願いします」

髪の毛とうなじの間に手を差し込むと、びくりと体が跳ねた。

「ん?」

「いや、ちょっとくすぐったいし…ま、前見えないし…」

「見えないのかい?残念だなあ、今お面取ってるんだけど」

「まっ…マジですか」

「嘘」

覆面を付け終わった

を対面させて座らせる。
慣れない感覚に緊張しているのか、すうはあと肩で息をしているかのような吐息が聞こえる。
覆面の端から流し出た髪を指に絡ませ、ゆっくりと梳く。
その髪の毛から、緊張が読み取れる気がした。その感覚が何処か心地好い。


僕は、少し彼女に意地悪がしたくなった。










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別にそういう悪戯では。