導入部的な物はこれで終わりです






頑張りすぎました。
褒めてやって。






「うん、着替えられたみたいだね?」

「…なんでジムにふろが…」

「何でって、ここヒウンジムは只のジムじゃないんだぞ?芸術の宝庫だ!

泊まり込んででも良い作品を作る為にはそれなりの設備が無いと!」

「って、何でジムだって分かるんだ?」

「…いりぐちに、ジムリーダーこーにんトレーナー…とかかいてあったから」

「あー 成る程!ってそれだとボクが君を連れてくる時にはもう起きてたって事だよね」

「……」

アーティのその言葉に、ぷい、とそっぽを向く彼女。
…に、わあわあと文句を言う道化師三人。

「あっ、お前なんだよそれ!」

「助けてもらったんだからそんな態度とるなよー」

「アーティさんにお礼言えよー!」

そう、三人。

「…んうん? ケリー君は一体何処に?」

「あれ、そう言えば」

ぶよん、と威勢の良い…かどうかは分からないが豪勢な音を立てて話題の彼は飛び込んで来た。


「たいへーん!外は凄い騒ぎだ!!」





「“スカイアローブリッジにて謎の空飛ぶ光源 伝説のポケモンか”って…」

「アーティさん街に戻って来た時に気付かなかったんですか?

…ってミー達もここでごたごたしてたから騒ぎには気付かなかったんですけど…」

「あうう、全然気付かなかったよー 見てみたかったなあ…ボクも」

号外に近い夕刊を五人で回し読み。
差し替えられた一面にはでかでかと謎の光源の写真が載っていた。

「もしかしてこれも君の所為だったりする?」

「…そんな、まさか」

「…お前…ばればれだぞ」

あからさまに目を背けながら言う彼女にアーティは苦笑した。

「適当に言っただけなんだけどなあ で、実際の所は?」

「サンタさんがやってくれた」

「「「「は?」」」」

「サンタさん…」

首を傾げる五人と彼女の間に割って入るのはあの髭、基“サンタ”と呼ばれたポケモン。
道化師達の誰かが回復させてくれたのか爆発気味だった髭も少しは気品を取り戻している。

「めだたないように、ひとの気をひくこうどうをさせたの」

「じゃあ結局橋を渡る時点で起きてたんだね?」

「……」

先ほどよりも更に首をあさっての方向に彼女は向けた。
あちこちに油絵の具が引っ付いたシャツをぎゅっと握って、“サンタさん”の後ろに隠れる。

「目立たなかったんだから良いでしょ」

「うん、まあ確かにボクが女の子連れて帰ったら騒ぎになるかも知れないし」

「熱愛報道って奴ですね!?」

「いやでもこの場合は熱愛報道の方がマシなんじゃ…」

じっくりと記事を読んでいたリックとジャックが多少青ざめた表情で記事の文を指す。
そこには“すわ、ホウエンのトクサネ宇宙センターから調査員派遣か!?”だの
“続報に懸賞金”だの

「…気を引きすぎたか」

「ねえきみ、どうだろう。ここは二人で何も無かったと決め込んでみない?

ボクは、君の事はもう一切詮索しない。その代わりにここに匿ってあげる。不自由はさせないよ」

「…代わりは」

「ん?」

「代わりの条件」

まだあどけなさの残る少女だと言うのに随分淡々とした口調だった。
主人の言動に驚いたのか、“サンタさん”が彼女の方へ思わず振り向く。

「む…そうだな…。君とそのポケモンをモチーフに何か描かせてくれない?」

「…そんな事だったら、喜んで」

喜ぶ、と言った割には笑いもせず、彼女はアーティを軽く見上げていた。

「ちょ…アーティさん!」

「いいのいいの、これはボクの判断だよー

それで、きみ。名前は?」

。ジムリーダーさんは?」

「うん、ボクはアーティ」

よろしくね、と差し出した手を叩き返したのは丁度二人の間に居た“サンタさん”で。

「サンタさん…」

宣戦布告か、何なのか。彼はびしぃっとスプーンをアーティに鼻息荒く突きつけた。

「そのポケモンなんて言うの?」

「フーディン」

「へー」

「へーってアーティさん、あのまま放っておいて良いんですか!?」

「人の噂も七十五日」

「うん、そんなもんそんなもん」

息が合っているのか、合っていないのか。
名前しか知らないそんな彼女を、このヒウンジムは匿ってやる事に、

なった訳で。










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導入部的な何かとりあえず終わり。
主人公さんが何処の人なのか~とかはまあいつか。そのうちに。
…忘れてなかったら。