鋭く、重い鋏をカイリキーは易々と受け止め、投げ飛ばす。
踏ん張ったハッサムの脚がずざざっとタイルに傷を付けた。
「後で…怒られる、かも」
はあ、と溜め息混じりに呟く。だがその顔は少し笑んでさえいる。
「思いっきり体を動かすのは楽しい…?」
勿論だ! まるでそう言うようにカイリキーはその逞しい身体を震わせる。
「ハッサム、シザークロス」
羽根を羽ばたかせハッサムはカイリキーに突っ込んでいく。
鈍い音がプールに響く。勿論それはカイリキーがハッサムの技を受け止めたもので。
しっかりと四つの腕で拘束されてしまったハッサムには臆すことなく次の指令を、
「アイアンヘッド!」
ーした。
ほぼゼロ距離からの重い打撃に一瞬カイリキーの頭が仰け反った。が、
「やっ…た…!?」
瞬間再び鈍い音、拘束から解き放たれたハッサムが崩れ落ちる。
「…ゼロ距離で炎のパンチ…考える事は一緒、か」
倒れたハッサムにまだ追い討ちをかけようとするカイリキーをサンタが念力で阻止をする。
「とりあえず、そこまで」
「…特訓はまた明日から」
ハッサムの手当てをしながらはそう語り掛ける。じっと、目を見ながら丁寧に。
このカイリキーは確かに乱暴者かもしれない。だが分からず屋ではない。
渋々とではあるがゆっくりと頷いたカイリキーを見ながら、彼女はそう感じていた。
「気持ち、良い?」
ゴシゴシとスポンジで広い背中を擦りながらは首を傾げた。
「うん…汚れ溜まってるな…」
ざはあーと湯で石鹸を流す。ブンブンと首を振ってカイリキーが水を払った。
「…お前も…ありがと」
温かい濡れタオルでハッサムの体も磨く。パタパタと羽根を震わせて喜んでいるようだ。
「好きなだけ、浸かって構わないから…」
湯の温度を確かめているカイリキーにはそう言う。聞こえているのかいないのか、ざぶんと勢い良く飛び込み、
「サンタさんも…拭いてやらなきゃな」
びしょ濡れになったは同じ様に髭から雫を滴らせるサンタに苦笑いした。
「…」
何か文句を言いたそうな複雑な表情でサンタは溜め息混じりに頷いた。
クシで乾いた髭を梳いてやると嬉しそうに目を瞑る。
「綺麗になった」
そんな姿に、ふふ、と微笑む人間の横顔に何を思ったのか、
「…っ!」
ぐい、と力任せに振り向かされる。見上げたカイリキーの手には用意してあったタオルが。
「!」
「…構わない。待って」
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楽しく交流してみようの巻。