聞いた事はあったし、写真で見た事もあった。だが、本物を間近で見たのは初めてだ。
緑色のカイリキー。それがコーダイのお得意様から預けられたポケモンだった。

「…少しやり過ぎた…?」

様子を見ようと手を伸ばした瞬間、眼光鋭く奴の目が開く。伸ばした手に痛みが走る。
みしみしと掌が軋む痛みは、すぐに消え去った。

「…あり、っ…がと、サンタさん…」

キイイイィ、とサイコパワーがが生じさせる音。
逞しく、太い指を同じようにみしみしと軋ませての手から外させる。手袋を外した掌は、赤く腫れしっかりと痕が残っている。
…その様子を察したサンタがますます力を入れ、カイリキーを拘束した。

「…おやめ。体を軽く拘束するだけで良い」

「……!」

何をする、といった目つきでサンタはカイリキーを睨み付け、その拘束を緩める。

「もう、何もしないから…お前が何もしなければ。だけど」

痛みを堪えながら言うに伸ばされた腕がそのうちゆっくりと下ろされる。

「…分かってくれた、の?」

ホッと溜め息を吐いたにサンタが駆け寄って手を取る。

「…大丈夫」

心配そうにすり寄るそのフーディンの姿を、何処か不思議そうな表情でカイリキーは見ていた。

「お前に何があったのかは…知らない。けど」

「こうやって私の手元に来たからには、言うことを聞いてもらう」

まずは、手当て。そんな事を言いながらは傷薬をカイリキーに塗ろうと背中に回った。かなり勢い良く吹き飛ばした筈だが、そこには擦り傷一つも見当たらない。

「…流石と言うべきか…」

隆起した筋肉に手を伸ばすと一瞬びくりと体が波打った。

「でも少し、…お前汚いな」

手を付けられないからとボールの中に閉じ込めっぱなしだったからだろうか、隙間に挟まった砂、手の届かない所には垢が溜まっているように見える。

「閉じ込められて、汚くなって…加えて運動不足。格闘タイプじゃなくても耐えられないな」

「…よし」





効果音を付けるなら、かぽーん…だろうか。
普段は水タイプのポケモン用の小さなプールに湯を張って、満足げには頷いた。

「今丁度…水タイプのポケモンが居なくて良かった」

濡れても良いようにTシャツと短パンに着替え、手にはスポンジ、石鹸。準備万端だ。
呆気にとられるカイリキーの目の前に、ボールを投げて一匹のポケモンを出す。

「運動でもしてから…風呂にしようか。…えーとハッサム切り裂く!」





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色怪力と交流しようの回。
性格的にはむじゃきとかやんちゃとかであばれることがすきとかそんなんでしょうか。
粘った色違いに限って性格が…は皆が通る道だと思います。
でも使う。愛故に。