これは完璧に上司と部下のスキンシップを超えている

そう、これは

主人と下僕の・・・戯れだ 所詮戯れなのだ


少 々 やりすぎでは、あるがね








「ぅう・・・・・・!!!」

四つんばいにさせられ頭をブーツで踏んづけられ、おまけに首の鎖をぐいぐいと引っ張られている。
苦しい事この上ない。

「っ、三佐っ・・・苦しいです」

「んん?何かね、狗。

話すときは人の顔をきちんと見ろと親から教わらなかったかな?

鬼だ。間違いない。この人は真っ白な人間の皮を被った鬼なのだ。

「・・・・・・三佐が・・・っブーツを退けて下さらなければっ、顔も上げられませんっ」

「ああ〜、もうボクの狗はわがままばかりだなあ、はっはっは!」

ご機嫌な声でブーツをの頭からどけ、その足を彼女の顎の下に持っていく。
つま先で器用にの顎をくい、とあげた。

「どうだね・・・?ボクは優しいから、貴様の顔までよく見えるようにしてあげたぞ〜」

「・・・・・・どうも、ありがとうございます。三佐」

当然だろう!ふふん!と笑い、顎の下のブーツをの顔へ向けた。

舐めろ

「・・・はい?


今日で何回目の目眩だろう。ああもう冗談だと思いたい。
でも、期待の眼差しギンギンの彼の辞書には冗談”という言葉は無いようだ。


、一軍人として上司に逆らうなど言語道断。

・・・女と、人間としてのプライドを捨てました。
これもそれも

・・・可笑しな可笑しな上司のため・・・・。

いいえ、わたくし泣きません。・・・勝つまでは。





「っは・・・」

しっかりと手入れされたブーツ。靴墨が塗られているのかとても・・・
・・・ああ、なんていったらいいかよく分からない味だ。
美味しくない事は確かだけれども。

「ほら〜、休まないで綺麗にしてよ。・・・」

「っ・・・・・・は・・・い・・・っ」

黒いブーツに絶え間なく舌を這わせていれば、腹に感じる不快感。
それに伴い目眩・・・軽い頭痛と嘔吐感。

靴墨の毒気にやられたか。いや、もしかしたら我が上司の毒か。

ぼんやりと馬鹿馬鹿しい事を考えていたら、視界がどんどんあがっていた。
極卒の顔に息がかかるほど近くなってからやっと、彼に抱きかかえられている事に気が付いた。

「・・・はっ・・・あ・・・・三佐・・・・?」

「あ〜あ、はっは!貴様の口の中も汚いなぁ」

誰の所為ですか、と一言ぼやこうと思えばその口を極卒自身によって塞がれる。

「・・・ ん ふ・・・っ」

くちゃ、と自らの口内に冷たい異物感。それはいきものみたいにうねって
の口内を冒していく。
彼を突き放そうと思っても、思うように身体が動かない。靴墨よ、お前の所為か。

暫くなすがままにされていると極卒はゆっくりとその唇を離した。
唇の端から零れた唾液がぬらりと光って、なんだか艶かしい。

「これは流石にキツイ味だな。悪食のアイツだって喰わない」

「・・・・なっ・・・んで・・・こんな事を」

汚いから綺麗にしてやっただけだろう。ボクのものだし

あっけらかんと答える極卒にほぼ撃沈状態の
嗚呼、悪い夢なら覚めてほしい。


「そうそう・・・アイツといえば、

もう一つ綺麗にしてやらなきゃならん場所があるっけな・・・?」

そう言うとを抱きかかえたまま、机の上に腰掛ける。
そしてのあの手を取ると、そのまま口に含んだ。

っや・・・!な、なに・・・なさってるんですかっ」

「ん〜?だから綺麗にしてやっているだけだろう。何回言ったら分かるのかね?

ちゅ、と濡れたの手にキスを落とすと、ぎゅうっと彼女を抱きしめた。

「本当に・・・何回言ったら分かるんだ、お前は、ボクのものなんだ

・・・アイツなんか、アイツなんかに渡してたまるか

「・・・・三佐?」

「アイツなんかに触られるんじゃない

ボクが、きちんとじっくり ボクの色に染めてやるから」

を抱きしめる力が一層強くなる。
綺麗にしてもらった”所為かぼんやりとしていたの頭がだんだんすっきりしてくる。
・・・まあまだ胃の不快感、嘔吐感、頭痛は消えてないのだけれども。

「三佐・・・その、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

「なあに?」

「何故、私なんですか?

・・・・何故、私に執着するんですか

脳裏に一番最初のあの大広間の映像が浮んでくる。
沢山の黒衣に身を包んだ兵士達。皆、極卒に忠誠を誓った者たちだ。
それなのに何故、私?

「・・・確かに、ボクには貴様なんかよりずっと優秀な部下沢山がいるよ。

でも、あいつ等は結局唯の優秀な駒”にしか過ぎない。

あんなのどうでもいい。ボクは、お前がいいんだい

そういうのに、理由が必要なのか?

「そ、そんなこと・・・言われても・・・ですね・・・」

それだって理由になってないじゃないですか、と反論しようとすれば


 る
  り


と世界が反転した。

っおわ!?

よし、寝るぞ

ぐわし、と肩に抱きかかえられそのままずんずん我が上司は進んでいく

ってそうじゃなくて



この人、今なんて




「・・・・・・へっ?」

夜は長いぞ










**********後書き
期待しても(する人居るのか)アレな方向には行きません。
・・・・前半部分は、本気で書くべきかどうか迷いました。ドン引き覚悟だmk。玉砕!
靴墨は本気でお口に入れちゃ駄目ですよん。種類にもよりますが中毒になっちゃいます。
しかしなんて色気のないキスシーンなんだろう。