さあてさて、

君はどんな言葉を発してくれるのかい?

わくわく期待感たっぷりだよ










夕飯にしてはまあ早め、昼飯にしては遅すぎる食事を三人は極卒の部屋でとっていた。
兵士が運んでくれた、シチューにパンといった簡単な食事だ。

「・・・(とてもじゃないけどあんなもの見た後はちょっと・・・)」

食欲の無いはゆっくりと食事をする手を止め、静かにごちそうさまでした、と呟いた。

「あれえ、もう食べないの?はー」

と、獄卒は下に向かって問いかけた。
立派な机の上に足を組んで腰掛けていた獄卒の皿はもうすでに中身は空っぽで。
食べるのが早いんですね、とは小さく言って彼を見上げた。

は、今床に座っている。

なんでも極卒曰く「狗は床に跪いて食べるのがお似合いだー!」だそうで。
彼女はその暴言とも取れる命令(?)に律儀に従っていたのだった。

そんなににこ、と一回微笑むと、言った。

じゃあボクがた〜べる

とんでもない発言にあっけに取られるを尻目に獄卒はひょい、と皿を奪うと
大きく口を開けあっと言う間にそれを平らげてしまった。

「な、なにやってるんですかっ 私の残り物ですよっ!?

「えええ〜でももったいないじゃない〜?ねえ?

「全く〜、意地汚いな」

これまた机に負けじと劣らず立派な椅子に、どっかりと座った極卒が皿を差し出した。

「なあに?食べていいのかい?」

いらない。やる」

瞬く間に獄卒の口の中に消えていくパンとシチュー。
ほぼ手を付けていないに等しかった。

「極卒三佐、お食べにならなくて大丈夫なのですか・・・?

・・・一口も手を付けてないみたいですが」

朝から色々とどたばたしていた所為で疲れているはずだ。
・・・疲れ、という人並みなものを彼が持っていれば、の話だが。

いいや、おなかはいっぱいでね

「・・・・・・?」

もうすぐ、戦争が見られると思うとわくわくでしょうがないんだ!

おなかなんて空かないぐらいにね。むしろいっぱいさ

待ちに待ってたんだ!ここまで救いようがなくなるのを!!


凄く楽しいぞ〜!皆でオペラグラスで鑑賞するんだあい、

戦車や軍隊が町を闊歩するのをさあ



きらきらと目を輝かせながら最高の笑顔を浮べ彼はぺらぺらと喋る。

「・・・・・・っ三佐・・・冗談でもそんな事言わないで・・・ください」

「冗談〜?きゃひゃはははははははあ!!

ボクがそんな笑えない冗談を言うと思うのかね?


「・・・・っ!

「それに向こうさんの戦争はもう避けられない。

今までのテロや衝突は戦争への前戯みたいなものだ

それを貴様はまだ人事のように見ているのかね?


ゆっくりと立ち上がったは顔を歪めて聞いた。

「・・・・・・そこまで隣国の状況は・・・」

「だーかーらー、貴様が見ているのは、

お馬鹿な報道機関が流した嘘八百の既成事実”だろう?

そりゃーボク達もまだ知らない事があるけどさあ。ま、そういう意味では

今朝やってきた一家は絶好の情報源だけど

思わずはっとした。

なあに、ちょっとした事情聴取だけ、その後はゆっくり。大丈夫

君達は手厚い保護を受けるんだ。不安なんて要らないさ”


「・・・じゃあ、あの人たち は、」

今頃はいっぱい質問攻めかもね〜?

まさかちゃんは彼らが殺されるとでも思ったのかなあ。かな?

横から口を挟んだ獄卒はけらけらと笑いの手を取った。
冷たい指をゆっくりと絡ませ、じっとりとした目つきでを見つめる。

「やっぱり君、おもしろいねえ〜?

ゆっくり、お話がしたいなあ。今夜辺り、君の部屋でさ」

ばぎん!と鈍い音がした。
ぱらぱらかちゃん、と小さな 陶器の破片が落ちてくる。

獄卒の頭から。

ボクの狗に触るなって言ってるだろーが

「あはあ、怒られちゃった!それじゃあ待ってるからね、

「・・・!それ所じゃあ無いでしょう、大丈夫ですか、え、えと

ほぼ原型を留めていない皿を持ったまま、極卒が腕を組んで言った。

「ソイツなら大丈夫だ。心配なんて要らない!

いやだなあ〜ひどいなあ〜つれないなあ〜

細かな皿の破片をぱらぱらと、ついでに真っ赤な鮮血もぽたぽたと落としながら
獄卒は踊るように歩いて部屋のドアの方へ向かう。

「どこへ・・・行かれるんですか?頭、大丈夫ですか?

「頭はいたって正常。中身もね。ちょおっと散歩に行って来ようかなあ

ほとぼりが冷めるまでね〜」

ぱたん

と軽くしまるドアの音が、まるで死刑執行の合図のように聞こえた。

後ろからの禍々しい気配が部屋の中の空気を支配していく。


さあて・・・

・・・・・・・・・・っ!!!」(泣きそう

机に乗り上げた極卒がゆっくりとの腰に手を回し、耳元で囁いた。


ど・お・し・て・や・ろ・お・か・な?


あ、死ぬな、コレ。










**********後書き
死ぬな、じゃねえよmk!!!
つ、次はもっと甘めの絡みにする、きっとする。
・・・多分する駄目駄目じゃねえか