誰かに存在を知られているというのは中々奇妙なものだ。





「・・・本の虫?

メタナイト卿から突如発せられた聞きなれない言葉にフームは又も訝しげな顔をした。。

「・・・の事?」

やはり状況を飲み込めない様子の皆に

「本の虫と言うのは歴史や知識を食べて”生きる流浪の民の事だ」

とメタナイト卿がのたまった。


「絶滅してしまったと聞いていた」

「絶滅・・・!?」

「・・・・・・これを渡してやれ」

まだ何か聞きたそうなフームに見覚えのある本を手渡す。

「・・・これは」

「行くぞ、ソード、ブレイド」

渡すが早いか途端にマントを翻し部屋から出て行ってしまった。
待ってください!と慌てて剣士二人も部屋から出て行く。

「・・・行っちゃったな」

「相変わらず訳が分からないわ。それにしてもこの本・・・」

ぱらぱらと手渡された本を流し読んでみる。
飛行機の図解やら鳥の骨格などが描かれている。

表紙には「飛行力学入門」と掠れた文字で書いてあった。




















「あ、いた、いっ

「我慢するんじゃな」

翌日、フームはカービィと一緒にを村の医者、ヤブイの所へ連れてやっていた。
・・・勿論デデデに見つからないようにひっそりと、であったが。

「しかしあの陛下のハンマーに押しつぶされて脳震盪と擦り傷だけとは、運が良いもんじゃの」

「身体が丈夫なのが取得なんです」

苦笑いするにぺたりと新しい絆創膏が貼られた。

「ま、こんなもんじゃろ。あんまり無理せんようにな」

「ありがとうございます」

彼女の身体には若干高めの椅子からぴょいと降りるとその場の皆にぺこりと頭を下げた。

「本当に・・・ありがとうございます。お世話になりました」

「行っちゃうの?」

フームの質問には寂しそうな顔をした。
ふるふる、と力なく頭を振る。

「そりゃあ、本当は行きたくは無いですけれども・・・」

王様に嫌われちゃ居所が無いです。と笑顔を作る。
あれを王様と言っていいものだろうか、とこの場の誰もがそう思った。

「良いのよ、。そんな事気にしなくっても!」

「ぽよ!」

「で、でも・・・」

それよりも、とフームが言葉遮った。
二つの手が(そのうち一つは手と言うよりお饅頭のようであったが)それぞれ彼女の手を取って導く。

「私、貴女に興味があるの!話を聞かせて!」

「ぽよ、ぽよぅ!」

「うわわっ」

ぐい、と楽しそうに手を引きながら二人は外へと出て行く。
その様子を見ていたヤブイは

「あんまり無理せんようになー」

・・・と止める様子も無く手を振っていたのだった。










「ふ、フームさんちょっとゆっくり歩いて・・・!!」

「ごめんなさい、あと少しだから!」

ぱたぱたぱたと道を曲がったり、かと思えば戻ったりとイレギュラーな進み方をしていた。
それはまるで、

「・・・何かを撒くよーな進み方するんですねっ・・・」

「その通りよ

え?と事情を聞く暇も無いまま皆揃って草むらに突っ込んだ。
は突っ込んだというより地面にめり込んだと言った方がいいような突っ込み方だった。

突っ込んで間もなく響く怒号と轟音。

「あいつ等何処行ったゾイ!?」

「見失ったみたいでゲスよ」

ある意味もう聞きなれた二人の声。あっ、と声を出しそうになっていたの口をカービィが塞ぐ。

見失ったのはお前の所為ゾイ、エスカルゴン!

「んなっ、何で私の所為になるんでゲスか!」

うるさいゾイ!さっさと他の所を探すゾイと例のデデデはエスカルゴンを鷲掴みにして車を走らせる。結構な音を立てて四輪駆動の車は砂埃と共に去って行った。

「・・・どうやらこっちに気づかず行ってくれたみたいね」

「つけられてた・・・って何で?」

「デデデは執念深いのよ。それに貴女はここいらじゃ見ない顔だし・・・」

「ぽよ」

きょろきょろと周りを確認してからフームが言葉を続けた。

「もっとゆっくりお話できる場所に行きましょ」










「ねーちゃん!待ちくたびれたぜー!」

村はずれの谷で手を振る人物一人。・・・と。

「カブーじゃないですか」

「知ってるの?」

一人と言っていいのかは微妙な所であるが巨大な石の賢者一人。
一見只の石造りの像にしか見えない彼を懐かしそうには見上げて言った。

「知ってるも何も良く会いました。・・・ここのカブーではないですが」

「?」

「どういう事なの?」

またもや首を傾げるメンバーにカブーが答えた。

カブーの仲間 銀河に沢山居る

「カブーは仲間とテレパシーで情報を共有できるんですよ」

次いでが言葉を引き継いだ。

の事 カブー仲間に聞いた

「良く話し相手になってもらったものです」

「って事は貴女は別の星からやってきた訳?」

流石フーム、理解力がある。話を早く進めたい作者は助かる。

「とりあえずそういう事になります」

「すっげー、どうやって来たんだ?」

ブンの質問にそれは秘密です、とは苦笑交じりに答えた。

「それじゃあどうしてこの星にやってきたの?」

「私の気紛れです」

「何の目的で城に忍び込んだんだ?」

再びのブンの質問に、はやはりまた苦笑した。かなり苦そうな顔だ。

「うーん・・・それはかなり複雑な事情で・・・」

「ぽよぅ?」

ある意味騒動の張本人のカービィは首を傾げた。くそう、悔しいけど可愛らしい。

「そういえば、メタナイト卿が貴女の事を知っていたのは何故?本の虫って・・・」

「あのメタナイト卿がですか」

酷く驚いた様子ではフームに聞き返した。
うーん、と頭を捻って、ややあってから言い返す。


「ますます何処から話せばいいのか分からなくなってきちゃった・・・」










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私も何処から書けばいいのか分からなくなってきた・・・。
次から説明文になっちまうのかなあ。