虫殺し。





少しずつ意識が覚醒してくる。
身体は動かせないし目も開ける事が出来ないぐらい疲れている。
聴覚だけが、頼りだった。


「エスカルゴン、どうなんだ?コイツ助かるのか?」

「まだなんとも言えないでゲス」

珍しくドクターらしい仕事(と言ってもドクター違いだが)をするエスカルゴン。
・・・の後ろでなにやらなんともいえない言い争いをしている方々が。

「こんな子供、しかも女の子に思いっきり暴力振るうなんて最低よ!!」

まさかまともに喰らうとは思わなかったんだゾイ!!わしは悪くないゾイ!!!

そんな言い訳が通じるわけ無いでしょ!!とフームが怒鳴っているのがなんとなく聞こえる。
ああ、私どうなっちゃうんだろう。

静かに意識を深い闇に落とした。










「・・・いくらなんでもこれはやりすぎじゃないか?」

「・・・私もそう思うわ」

「ぽよ」

だーかーら私はこういうドクターじゃないと最初に言ったじゃないでゲスか!!

視線の先には絆創膏ベタベタ、包帯グルグルのの姿が。
・・・明らかに過剰治療である。

「ともかく、治療は終わったゾイ。これでコイツが目を覚ませば全て元通りゾイ!」

「はいはいそうでゲス、今日はもう時間も遅いからこれで失礼するでゲスよ」

「何言ってるのちょっと待ちなさいよ!」

フームの静止も聞かずのしのしひょこひょこと二人は部屋を出て行った。

「相変わらず自分勝手な奴等だぜ」

「本当ね・・・それにしてもどうしよう」

と言ってフームは少し頭を抱えた。
怪我を負ったを運び込んだのは良く分からない物置のような部屋で。
随分使われていないまま放置されていたのか床には埃が溜まりっぱなし。部屋の隅には蜘蛛の巣。

「・・・不衛生極まりないわ。でもだからと言って今を動かすのもちょっと・・・」

怪我人になるべく負担がかからない様にするのは当然のことである。
・・・が、この汚い部屋の中に寝かせておくのも如何なものだろう。



「苦戦しているようですね、フーム殿、ブン殿」

「ソードにブレイド!何故此処に?」

扉の方を向けば甲冑を纏った二人の戦士が。手には簡易担架のようなものを持って部屋に入り込んできた。

ご主人の命で

手助けをしに

それぞれが一言ずつ言いながらてきぱきと包帯塗れの生物となったを担架に乗せる。

「メタナイト卿が?ありがたいはありがたいけどどうしてまた事が起きてから手助けするのよ」

「我々が動くのはあくまでもご主人の命があってからですので」

「ゆーずーがきかないんだな」

そんな事を喋りながら汚い部屋を出てぱたぱたと廊下を歩き始める。

、聞こえる?すぐにきちんとした所で寝かせてあげるからね」

「ぽよ、ぽよ!」

・・・そんな事を言いながら手なんか握ったりして気分はまるで医療系のドラマのようだ。




「・・・で、何処に連れて行くんだ?」















・・・で、到着したのが、

「そりゃあ呼んだのがメタナイト卿なんだから行く所はここだよな」

「まあ・・・それはそうよね」

メタナイト達三人の自室、その畳の上に軽く敷かれた布団には寝かされていた。
うう、と軽く呻き目を開ける。

!良かった目を覚ましたわ」

「・・・!」

むごむご、と口を塞ぐ滅茶苦茶に巻かれた包帯を解いてやる。

ぷはっ、・・・一体何が私の身に・・・」

「えーと、なんて説明すればいいのか・・・」

「ぽよぅ」

国王(一応)にハンマーで押し潰された、なんてそんなトンチキな事言った所でますます彼女をパニックにさせてしまうだろう。

「と、とりあえず!気が付いて良かったわ」

「まだ頭ががんがんする・・・」

やっとこさ起き上がった彼女は再びふらふらと横たわる。

!・・・ああ、また気絶しちゃったわ」

「ぽよ」

ぐったりしたにカービィが布団をかけてやった。



「陛下も相変わらずだな」

「全くよ。・・・で、どういうつもり?」



声の主にフームは後ろを向いたまま問うた。

「・・・どういうつもりも何も怪我人を介抱してやっただけだろう」

「貴方の場合ただそれだけじゃ済まない気がするから聞いてるのよ」

目をしぱしぱさせるを背後に匿い、フームは振り向いた。
視線の先にはマントに身を包んだソードとブレイドが主、メタナイト卿が。

「確かに、他に目的が無いと言えば嘘になる」

「どういう事?貴方はの事を知っているの?」


いつの間にかの隣にぺたりと座っていたカービィが首(頭か?身体か?)を傾げた。
他の四人も同様に今の状況を良く分かっていないらしい。


乱舞するクエスチョンマークを掻い潜り、メタナイト卿が一言発した。





本の虫”だ










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やっと登場。てか一部屋に七人居る状態とかどれだけカオス。