眠れない。






nirvana [ニルヴァーナ] calm




結局眠ることなく朝を迎えた。
複雑な表情で今日の準備”を整えていると

「「」」

後ろから声を掛けられた。

「・・・ホトリ、コトリ」

「ほほう!、そんな難しい顔してる暇なんかないぞ!」

「そうだ!何しろ今日は・・・」

泣きそうな表情をしたを見てホトリが声を詰まらせた。

「だ、大丈夫かー・・・まだ痛むのか?」

「や・・・そうじゃなくて・・・」

その、とも言葉を詰まらせた。
沈黙が一瞬その場を包む。

「はっは〜ん!さては、怖気ついたな!!

っな!そ、そんなんじゃない!!!

「「の弱虫ィ〜〜♪」」

弱虫なんかじゃないー!!

さっきとはうって変わって顔を真っ赤にしながら言い返す。
いつものペースが戻ってきたようだ。

丸っこい双子はそんな事を思いながら内心ひやひやしていた。








「私達は一足先に単独行動・・・ってことは他の人はヤマさんが?」

「おう。俺たちはもう森に入っていいってさ〜」

「好きなように暴れていいらしいぞ」

きりきりきりと弓の弦を貼り直しながらが聞き返す。

「本当に総力戦って訳か・・・」

「一斉掃除だからな」「ソレぐらいは必要って訳だ」

「「それよりも」」

二人が同じように顔を曇らせる。

「・・・なあに?」

「お前・・・大丈夫なのか?」「怪我してるんだろ?」

「痛いけど・・・これぐらいなんて事ない。大丈夫大丈夫

・・・それよりも」

さっきまでの朗らかな表情が消えた。

「・・・ホトリも、コトリも・・・心が乱れてる」

「「・・・・・・・・・・・・」」

「サトリさんがやられちゃって悔しいのはわかる、でも

・・・そんな風な心になっちゃだめ・・・」


「「お前馬鹿だなー」」

「・・・はあ!?

「俺たちがそんな簡単にやられるかよっ」

の方がよっぽど心配だっ」

「・・・うん、そうだね。そうかもしれないね」

ため息にも近い笑いを返しながら弦をめいっぱい引っ張った。















いつぞやの小高い丘には居た。
からっぽの頭の中に色んな声が聞こえてくる。

逃げ出したい、と思った。

誰も傷つけたくない

なんて自分勝手な願い、それでも、

その考えを遮るかのように馬鹿馬鹿しい、と頭の中で誰かが囁いた。
こうなってしまったからには腹をくくれ、と。

「ああ・・・そうだ、・・・っ覚悟を決めなきゃ」

誰ともなくそう呟いて顔を拭った。

下を向いたままの顔からはぽたぽたと涙が落ち続けていた。















鬼になろう














矛盾していたとしても。










**********後書き
短め、そして支離滅裂(直せ)