風を切りながら森を進む。

きっと今日は厄日なのだ

そうに違いない。




nirvana [ニルヴァーナ] bad day "run away!!"




ミルキーロードをスケート型のウェイバーに乗ってどんどん進む。
時折聞こえてくる爆音がどんどん大きくなっていく。
もっと確実で安全な道を通るべきだ。
そう考えて私は、森の中の川ではなく、開けた草原の川を通ろうと

した のに。

「・・・!あれが例の青海人っ!」

黒くて、なんだか愛嬌のあるまぬけなダイアル船に彼等は乗っていた。
なんてこった、この忙しい時に鉢合わせしちゃうなんて・・・。
さっきまでの甘い考えをしていた自分を呪いたい。
彼等も私の存在に気づいたらしい、どうするの私!どう対応すればいい

ああっ!!可憐な天使がボクをお迎えに来てくれたぁ〜〜vvv

・・・本当に・・・どう対応すればいいの・・・?

「おいお前〜!!“さいだん”ってどう行けばいいんだァ〜??」

イヤ何聞いてんだよ!神官かもしんねえだろっ!!」

なんだかごちゃごちゃと騒いでいるが今は彼等にかまっている暇はないのだ。大事な用事がある。
そう思った私が踵を返した瞬間、荒々しい“声”が頭の中に響いてきた。
振り向いて見れば跳ぶ彼等。

「シャンディア!!!」

「! ・・・神兵・・・!」

見事とも思える動きでリーダー格と思われる一人が私めがけ発砲してきた。
私は息を吸って心を落ち着かせる。大丈夫避けられる。

「にゃろう!! ゴムゴムの・・・・・・!!!」

麦わら帽子を被った青海人が文字通り膨らんで飛び出してきた。

「っんな!!・・・能力者・・・!?」

「“風船”〜〜!!!」

膨らんだお腹に砲弾はのめり込み、反動で吐き出される。
次いで聞こえる爆音。耳がどうにかなりそうだ。

「・・・・・・・・・!ワイパ―――!!!やるのか」

「・・・・・・・・・いや・・・!!構うな!!」


「てめェ・・・レディーにいきなりなにしやがる!!」

「おいお前何すんだァ!!!覚悟あんのかァ!!!」

ギャ〜〜〜〜!!!

まさか能力者が罪人だったなんて知らなかった。
でもそんな事で驚いてなんかいられない。そんな状況じゃない。

ましてや、目の前にあの男が居るから。

「・・・目の前に罪人が居るのに手を出しもしねェのか、副神兵長!」

「我々神兵は試練を受けている最中の罪人に手を出す事は禁じられてます。

・・・貴方達みたいな侵入者は別だけど シャンドラの戦士、ワイパー」


まさに一触即発の雰囲気。
どちらも隙を見せずにらみ合っていた。


「・・・なァ、俺達って今すっげー危なくないか・・・?

「・・・あァvさんって言うのか〜・・・vvv」

「ははは サンジは相変わらずだな〜」

笑ってる場合か!!?

ビシッ!と突っ込みを入れた瞬間

 先に動いたのはだった。



「逃げる気かァ!!!」

ウェイバーを最高速で急発進させ4人のシャンディアを一気に飛び越える。

「悪いけど今は貴方達にかまっていられないっ」














そして冒頭に戻る。

彼女は今風を切って全速力で進んでいた。
後ろからはシャンディアが追ってくる。

なんて日だ。 改めては自分の運の悪さを呪った。

「・・・でも!あと少しでゲダツさんの縄張りに・・・!?」

急にガクン!と体のバランスを崩した。こめかみの辺りから血が噴出し熱い痛みが襲ってくる。

「・・・外したか・・・・・・!!」

ジャキン!と次の弾を撃つ準備をしてくる。
噴出す血と痛みを抑え歯を食いしばる。足は止めない。

(掠っただけ!掠っただけ!!焦るな!!)

ミルキーロードから跳び地面に降りてまた走り出す。
時間が妙にゆっくりと進む感じがした。

嫌な感覚だ。

後ろから追ってくるシャンディアが脳裏にはっきりと映る。
トリガーに指をかけ、発砲する。
弾がまっすぐこちらに飛んで来る。

避けられる

なんとなく、そう思った。










「っう・・・!!!」

再び熱い痛みが襲ってきた。
それとは反対にあの嫌な感覚が消えていく。

腕に負わされた傷はさっきよりも深かった。
ぼたぼたとこめかみの傷とは比べ物にならないぐらいの血が流れてくる。
どうやら弾が貫通したらしい。

「・・・避けられなかった・・・」

情けない、と悲しくなってきた。頭もくらくらする。踏んだり蹴ったりだ。
がっ、と木の根に足を引っ掛けて転ぶのと同時に、見覚えのある頭と背中が視界に入った。



・・・ゲダツさんん!!

次々に攻撃を仕掛けてくるシャンディアを殴り飛ばすゲダツにありったけの声を出して呼びかける。
ジェットダイアルによる風でちょっとした嵐のような状態だ。

「む!その声はか!!?  ・・・何処に居る?姿が見えん!!

ゲダツさんこんな時に白目なんか向いてないでください!!

うっかり!なんて効果音を飛ばしながらシャンディアをパンチで吹き飛ばす。

「(どうした?一体何があった?)」

頼みますからきちんと声を出して喋ってください・・・!!!

半分泣きそうになりながら後ろから斬りかかって来たシャンディアにまわし蹴りを喰らわせた。
もう怪我なんて気にしていられない。他の二人の所に行くべきだった。とまた自分を呪う。

「エネル様から手紙を預かってまいりましたっ」

やっと、やっと大事な用事を済ませた!妙な達成感が沸き起こる。
ぐしゃぐしゃになりかけた手紙をゲダツに手渡す。今なら悔いなく死ねるような気までする。

「なんて書いてありますか、ゲダツさん!」

無礼に当たるが思わず聞いてしまった。きっと何か重要な事が書いてあるに違いない、
なんてちょっとした期待でわくわくともしてしまう。

「・・・“夕ご飯までには帰ってくるように”




目の前が真っ暗になった気がした。
















**********後書き
シリアスなんだかギャグ何だか。
さん悲惨。